武士道

武士道精神が日本の心を外国人に説明するのに用いられていたことは誰もが知っていることである。「武士道」の本を書いた新渡戸稲造岩手県盛岡市出身であったことも、国際連盟事務次長であったことも私は知らなかった。国際人を目指している私の勉強不足であった。彼は北海道大学の前身である札幌農学校の2期生でもある。またアメリカに私費留学もしている。さまざまな苦労を経て国際連盟の事務次長になって当時紛糾していたスエーデン、フィンランド間の国際紛争を解決して、輝ける星、と言われて「武士道」の出版もして世界の大ベストセラーとなった。そして日本の精神文化を世界に知らしめたのである。武士階級は消失したが、武士道の精神が失くなってしまった訳では無い。私がアメリカに半世紀近く在住して私の心を支え、ややもすれば自分を見失いかけるアメリカの土地に於いて自分のアイデンティティを保ち日本人の誇りを失わなかったのも日本の武士道精神があったからである。特に武術に携わる者にとっては胸の奥に秘める思想哲学でもある。中国生まれの尤氏長寿養生功を教授するようになった私は武術としての勁空勁では無く、医療としての氣を世界に拡めるにあたり、武士道精神はこれから必要不可欠なものである。ウソをつかず、武士の心を以って、日々新たに生きて行く覚悟である。