後悔と逆襲

人生において後悔することはマイナスなことではあるが、私の場合、どうしても悔やんでも悔やみ切れないことが一つある。私が能力も努力もない三流以下の、自分をホンモノの漢(おとこ)と勘違いしていたオトコを日本拳法のチャンピオンにして東京の責任者に選んでしまったことである。相当な私のカネと時間をこのオトコに費やしてしまった。カネは恵んでやったと思えば何の事でもないが、二十年もの時間を無駄にしてしまった。このオトコの母親と姉の苦しむ姿を見るに見かねて助けてやったのであった。任せた後に入って来るカネで歳に似合わぬ贅沢を始めてそれでも間に合わずに私の名前を使い道場生から不正な借金を重ねて、今でも一円の返済とその 謝罪もない。それどころか私の道場の乗っ取りを企てたことを寸前で私が食い止めた、帰国後、道場生と共に三年で立て直したのである。五年後の来年には海外のタヒチに拠点を設けて、ヨーロッパに進出することにもなっている。タヒチに移住する、と言っても静養して楽隠居するものではない。私は私の爪と牙を研いで私の身体を大改革して逆襲の機会を伺うのである。私の診療所で得る収入を資金にして日本に戻って来てニセモノたちの団体を根絶する。改造されて進化した肉体と氣がニセモノを圧倒する。それまで酒と美味いものをたらふくエンジョイしてもらいたい。痛風を悪化する原因になってせいぜい苦しむが良い。そしてウソと見かけだけの団体を日本の社会で喧伝するが良い。誰の目にも止まらぬ三流以下の武術団体として葬られる運命になる。因果応報、悪因悪果、良貨は悪貨を駆逐する。ホンモノにはニセモノは敵わない。