小学校と博士課程

これは、香港からサンフランシスコの道場を訪れた老人が言っていたことである。その老人が言うことには、尤氏長寿養生功は言うなれば、一般の武術が小学校のカリキュラムとすると大学の博士課程の武術である、と何遍も言っていたのである。私は少林寺拳法を若い頃から練習して二十五年ほど携わっていたのであるが尤氏長寿養生功は三十年を越えても今でも最初の練習の時の興奮とワクワクする気持ちが続いている。そしてそのワザも比べることができぬほど高度なモノでまさに博士課程と言えるほどの難しさである。この老人は香港でのドクター尤老師の弟子であった。おそらく何か他の中国武術を経験した後に尤氏長寿養生功に入門して来たと思われる。相手を触れずに投げたりコントロールする武術などは昔からヤラセ、催眠、カネを渡した後の茶番、とホンモノを知らない者たちが騒いでいたものであるが、日本では私がテレビ局の生番組で有名人を会ってすぐに投げたりコントロールしたことで本当に存在していた武術であることを証明したのである。これ以来、博士課程の勁空勁を疑う者はいなくなった。それでも本人が体験しなければ信じることができぬ者も未だにいる。私が開いている講習会はその為のものと言える。私の初対面者との勁空勁の成功率はほとんど百パーセントになっている。私も信じられぬほどの成功率になった。私が尤氏長寿養生功と関わりを持たなかったならば、こんなワザも開発できることなど出来なかった。小学校にずっと居続けたら博士課程のカリキュラムに出会うことも無かったはずである。人間は時として、一大決心をして関わっていたことに決別をして自分にピッタリ来るモノに全精力を傾けねばならぬことがある。私は少林寺拳法に別れを告げて私の世界を作ることが出来て幸せになった。