死んで花実が咲くものか

戦後七十年経って戦争中のフイルムを見ると、あの若さで死んでいった兵隊さんはどんな気持ちで死に向きあったのだろうか?と思わざるを得ない。強制された死であって自ら望んだものではない。特に特攻で散っていった先人たちの死を以って現在の日本の繁栄がある事実を想う時には、日本の損失は如何なるものであったろう。今回のコロナのこともそうであるが、どんな国難があっても死んではならない。生き延びることが大事である。生きてさえいれば、また復活できる。私も死の危険のある病いで入院して生還した。私以外の患者はみんな亡くなった。また階段から落ちて、首の骨を折らずに代わりに手首の骨二本を折って当然身体障害者となった。だが、未だ生きている。しかも、脚も腕も回復して来ている。健常者に戻る夢を諦めてはいない。そして無上の幸せを感じるようになった。生きてさえいれば、たとえ身障者になったとしても幸せになれるのである。生きている者だけに許された特権、多幸感を持つことができる。

死んで花実は咲かないものである。