対戦相手

患者の持つ病いに対する時は今話題になっている日本人ボクサーがKOする相手と殴り合いをするようなものである。患者一人ひとりと会って話をするまでには何も情報は無い。もちろん病名は事前に聞く場合もあるが、ほとんど情報は皆無である。当日会ってブッツケ本番なのである。やってみなければ分からない。これは以前私がテレビ番組に呼ばれて会って話したこともないタレントに生まれて初めて会って、さあ触らず投げろ、と言われた時と同じである。病氣になっている患者の性格、生い立ち、教養など全て違って個性がある。その場での対応力で相手の病魔と戦わなくてはならない。薬も手術も使わずに相手の自然治癒力を引き出す必要がある。氣は不思議な存在である。氣を感じる患者はすぐに効果があって歩けなかった患者はスタスタと歩き始めて痛みのある患者は痛みが消失する。効果が上がらない場合には患者から信用の無い目で見られるから会ったその場で結果を出さないといけない。真剣勝負なのである。いつも言っている食、体、想の三点健康法のうちいづれがバランスを崩しているかを決定して病いの原因を探る。目視できる手段である機械を持たない代替療法をする我々治療家は治療前の状態と治療後の状態を測定する方法が必要になって来る。幸いにして、あらゆる療法を研究して来た私にはある測定法を持っている。目視で治療前後の患者の状態が分かるのである。ボクシングの対戦相手の状態を冷静になって判断するように次にどこを攻めてどこを撃つか、作戦を考える。病魔はなかなか手強い。簡単には去ってくれない。施術する度に痛みの度合いを聞き、歩かせて様子を探る熊本では水頭症の患者は衰弱がひどくて座ってもいられない状態であったので治療を断念したが他の二十五名の患者の病魔、症状は消失したのであった。孫氏の兵法に敵を知らば百戦危うからず!とある。短い時間にKOできるにはその場での状況分析、普段の練習、テクニック、対応力などあらゆるもの全てを手の内に持っていなくてはいけない。千葉の講習会に向けて今朝も早くから起きて瞑想して二食を抜いて戦う準備は怠らない。