円形脱毛症

面白い治験を思い出したので以下に記す。

患者は主人のアメリカ転勤で家族と一緒に渡米していた四十代の主婦である。見ただけで、頭の片側が円形に見事に禿げていた。円形脱毛症である。話を聞くうちにアメリカの生活が合わなくて緊張する毎日であったようで、特に二人の子供たちの教育に頭を悩ましていた。神経衰弱気味になって髪の毛が円形に抜けてしまったらしい。中医学では漢方薬を飲ませて鍼を打つ。証を決めて漢方薬を処方して、いつものように耳には置鍼を施して瞑想を教えて初回の治療は終わった。六回目の治療の頃には禿げて頭皮の見えていたところに産毛のような短い毛が生えてきていた。私も早い効果に驚いて患者を励まして週一で通院してもらい、十回目の治療の時まで三ヶ月で美容院で脱毛症が大分良くなって禿げていたところの毛髪の伸びが他の場所より早いと言われたとのことである。漢方薬自身は毛生え薬ではないが、心身の不調が良くなってくることが毛髪を伸ばして行く。鍼を円形脱毛症になって禿げている場所に打って血流を良くすることによって毛髪の成長が促される。漢方薬鍼灸の相乗効果により、この患者の円形脱毛症は完治した。半ば諦めていた病い、円形脱毛症が完治したこの患者は自信を取り戻し、その後のアメリカ生活をエンジョイし始めて幸せに暮らしが楽しくなって顔にも笑みを浮かべるようになった。私の氣も大いにこの患者に貢献したものであったと私は思っている。円形脱毛症は西洋医学ではこんなにも早い回復は出来ない。女性にとって、髪の毛が抜けて円形脱毛症になってしまうのはほとんど致命傷とも言える病いで精神的な心の状態を改善することが一番のクスリとなる。漢方と鍼灸には精神を安定させる効果が期待できる。その大本には氣の存在があることを忘れてはならない。