チーター

師母は私が入門してからしばらく経ってジャンプ震脚が大好きになって毎日顔を出して他の道場生が投げられた後になかなか立たないで、師母に向かってはいかないのに、私だけ転がってもすぐに立って師母を攻撃していた様子を師母が見て、私が敏速なことを気に入ったようで、ある日から私を確か、ラオフージャイと呼ぶようになった。チーターと言う意味である。チーターの急角度で獲物を追う姿と私が重なって見えたのかも知れない。その時の私は脚のチカラに自信があって、鉄人のように自分が思えたし、みんなからも鉄人のように思われていた。今では脚と手首を怪我して身体障害者となっているから私が以前、チーターとか鉄人と呼ばれていたことが信じてもらえないだろう。が、今は椅子に座って勁空勁を道場生にかけている。それでも、全盛期の私以上に私の氣のエネルギーは強く重くなっている。みんなは椅子に座って武術武道で、道場生を投げているのを見たことはないはずである。しかし、私の師母も晩年には椅子に座って我々を投げていたので、私も座って勁空勁をかけることには抵抗が無い。歩けなくなっても、目が見えなくなっても訓練は授けられるのである。まったく、何処を探してもこんな武術はないだろう。しかもまだまだ強くなって進化している。こんな武術が他にもあるなら教えてもらいたいものである。目を閉じれば、すぐに瞑想に入れるし、脚の筋肉が肥大して鉄のように硬くなる。食べるものは何でも美味しい。肌の皮膚は赤ちゃんのようなスベスベである。これで七十歳、古希を過ぎた。他の七十歳の老人と比べると私がまるで青年のように見えるだろう。元鉄人でチーターは毎日瞑想とリハビリの筋力トレーニングを一日たりとも怠ってはいない。進化向上に努めている。