一招と千招 一技と千技

競技において、得意なワザひとつに自分の全神経、全精力をたくさんあるワザの中から選びそれだけを磨き上げると百戦百勝となる。おそらくこれは真理だろう。いろいろ批判はあるかもしれない。バカのひとつ覚え、と言う者もいるだろう。私も能力の無さをバカのひとつ覚えで、寝ても覚めても基礎訓練で徹底的にジャンプ震脚と站椿功で私の脚と腰の筋力を鍛えた。脚腰の筋力はワザと呼べるものではないが、尤氏氣功に於いては生命線とも言える最後の砦である。一時期私の太ももの周囲は六十センチを越えていた。ウエイトを使わずに、自重だけのトレーニングで競輪選手のような筋肉を作り上げたのであった。脚腰のチカラでは誰にも負けない、と思っていた時がある。一度妻と二人で遊びに行った保養地で自転車でサイクリングをした時には急な坂道を自転車で登ったのであるが、私は坂道を良い練習になると思いまっすぐ登って行った。後から登って来た妻を余裕で迎えたことがあった。私が五十歳を越えていたはずである。脚腰を鍛えておけば老いを遅らせることができる。また七十歳を越えた今、身体障害者であっても難病患者を改善させてまた正常に歩かせることができている。これも私には一招である。尤氏氣功にとって一招の裏側にある隠れたチカラを大切に思い、基礎訓練にワザより時間をかけるのである。私はこの真理を競技の世界で証明してみたいと考えている。