強さと優しさ

強くなりたい!と強さに憧れて武術武道に入門して来る者は数多く、少し習うと肩肘張って肩で風切りこれ見よがしに態度は横柄になり頭まで筋肉になったようなハンパ者を私は良く見かけた。今でも時折そんな者を見かける時がある。半世紀も武術武道に携わると、そんなことで会話したり相手をするのが面倒くさくなっている自分に気がつく。強さをひけらかす者は弱い人間の部類に入り、弱いから強さを求める。心の底にコンプレックスを抱えて闇のエネルギーを持っている者が多い。小さい頃にハリウッドで作られたコンフー映画のヒーローに憧れて大人になってもヒーローを憧れたりする、心に欠陥を持つ者もいる。今の私は真に強い者は心優しく、愛を持って他人の不幸を見逃せないで共感できる人である、と思っている。愛などと言えば女々しいヤツ!と思う者もいるかもしれないが、実はそうでは無い!武術武道を学び肉体を一般人より鍛えた者、真に強くなる者は強さをひけらかすことはしない。むしろ近所の子どもや年寄りとの会話を楽しんで、日常の彼らの無事を見て喜び健康で長生きしてもらうことを祈る。私自身がそのような心境になっていることに満足しているのである。そして他人の子ども、老人に一旦急があった場合のみに武力を行使する用意がある。昔の童話に良く出て来た、「氣は優しくてチカラ持ち、」と言うことだろうか?他人に共感できる愛こそが強い!ということである、と私は思う。