独立独歩

私は両親が四十を過ぎてからの末っ子で母親は明治生まれで小学校を出ていなかったと聞いている。当然教育には無関心で、明治時代の価値観によって私は育てられた。私が難関の高校に入学した時も大学に合格した時にも興味のひとつも示さない。英語の塾に通いたくても月謝を払ってもくれないから自分で中学生から働いて教育費を工面した。中学で父親が他界して大学で母親を亡くした。何でも一人で働いて必要なものを揃えてその時々の状況に備えたものである。日本でも一人、アメリカにおいても一人で働き、一人で決断して生き抜いた。医学に興味のあった私は特に東洋医学に興味を抱いてサンフランシスコの鍼灸大学に入学して、英語と中国語の授業になんとかついていき、カリフォルニア州の試験に合格して中医の資格を取得したのであった。この時に入学金を借りたアメリカ人夫婦とは三十五年を経た今でも交流がある。この借金も時間はかかったが働いて返済した。アメリカでは家族も親戚もいないので誰か相談する人もいない。クリスマスも正月も何年も一人で過ごしたので一人には慣れてしまった。尤氏長寿養生功に出会った後に先輩中国人夫婦と友人となってやっと仲間ができた、と感じたのである。人間は一人では生きられないし、何かを教わることもできない。尤氏教授を許されても道場生がいなければ教えることはできないのである。独立独歩は尤氏長寿養生功と出会うまでにしたいと思う。確かにある時までは独立独歩の半生ではあったが、今は共生して生きることを尤氏教長寿養生功から私は学んだ。誰とでも話をすることが楽しい。誰にもマネの出来ないワザを伝える私には自信のある人生を歩んでいる。独立独歩で築いた自分は共生できる自分となっている。何より幸せとなった。